士業専用ダイヤル
「都市計画道路予定地になっているのですが
どう考えたらいいですか?」
というご質問を頂くことがあります。
都市計画道路予定地は、減価要因です。
道路になることはセットバックとよく似ていますが、
都市計画道路予定地の場合は、
行政が買収してくれるのが大きな違いです。
ちなみに、行政が買う時の価格も、
不動産鑑定士が評価しています。
公共用地買収のための評価という
昔から続く鑑定士の業務の1つです。
市町村の都市計画課で調べられるほか、
最近はネット閲覧できる市町村も増えました。
「都市計画道路○○線 3.4.9号(20m)」
というように記載されていて、
道路名と拡幅後の予定幅員を調べることができます。
【都市計画道路予定地とは】
都市計画法に基づく道路整備が予定されている土地のことです。
どのような段階にあるかで、
土地利用の制約や減価の程度が変わってきます。
既存道路を拡幅するような形で
計画決定されていることが多いですが、
たまに住宅地のど真ん中を貫いていたりもします。
■計画決定段階
都市計画道路の計画が決まっただけの段階です。
まだ事業認可まで受けていないため、
将来的に道路になるんだなという程度のイメージです。
何十年も“計画決定”されたままのものも多く、
都市計画の見直しにより廃止されることもあります。
2階建てまで、地階は無し、
木造・鉄骨造・コンクリートブロック造など
容易に除却・移転が可能であれば、建築可能です。
逆に言うと、3階建て以上の鉄筋コンクリート造建物は
建築できないことになります。
商業地域など容積率が大きい地域ほど影響が大きいです。
■事業認可段階
事業が認可され、予算もつき、
数年のうちに道路として整備されることになります。
そのため、予定地上に建物を建設することはできず、
建築基準法上の道路と同様の扱いになります。
建築物の敷地面積に含めることもできません。
【財産評価基本通達における評価】
24-7「都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価」として、
「地区区分、容積率、地積割合の別に応じて定める
補正率を乗じて計算した価額によって評価する。」
とされています。
予定地の地積割合が大きいほど、
容積率が高いほど減価の程度は大きく、
▲1%〜▲50%までの幅広い補正率になっています。
【固定資産評価】
対象地の中に予定地が占める地積割合と、
固定資産評価上の用途地区の分類に応じて
補正率が定められています。
(補正のイメージは国税と似ています。)
【鑑定評価】
鑑定評価の場合は、
上記のような地積割合、容積率等はもちろん、
対象地のどの部分が都市計画道路予定地になっているか。
「位置」が非常に重要になります。
ある程度の地積割合でも、敷地の端であれば、
土地利用(建物建築)にあまり影響が無い場合もあります。
また、地積割合は小さくても、
対象地のど真ん中を都市計画道路予定地が
横断しているような場合は、
土地利用に大きな影響が出てしまいます。
また、都市計画道路予定地が実際に道路となり、
既存建築物の敷地面積が減ってしまうことにより、
建て替えの際に同じ建物が建たない場合も出てきますので、
しっかり個別具体的に検討していくことが大切です。
いよいよ年末。
年度末も見えてきました。
毎年この時期になると多くなるのが
決算対策でのご相談です。
「思いのほか黒字が大きくて、売却損を出したい」
「赤字になってしまったが、売却益を出して黒字にしたい」
社長と会社、関連会社間での売買を
想定されるケースも多いです。
譲渡損益がどれくらいになるかによって、
先生方のスキームも変わってくるのではないでしょうか。
【鑑定士に頼むメリット】
不動産鑑定士が作成する書類があれば、
譲渡価格が適正であることの根拠となります。
時価には一定の適正な「幅」があります。
昔から言われる表現だと“ストライクゾーン”。
特に今年は、新型コロナウイルスによる影響もあり、
時価をどう考えるか難しい時期ではないでしょうか。
決算対策として望ましい方向性と、
その価格が時価として適正なのかどうか、
税務リスクがどれくらいあるのか。
複数のシミュレーションに基づいて
しっかり連携しながらご提案させていただきます。
【全体的な傾向】
一般財団法人日本不動産研究所が出している
「市街地価格指数」によると、
以下のような傾向にあります。
■住宅地(全国)
2020年9月末指数 90.6
1979年85.7〜1980年91.4くらいの水準です。
1979年より前に取得していれば現在より安く、
1980年以降に取得していれば現在より高い傾向にあります。
■商業地(全国)
2020年9月末指数 88.4
1970年86.8〜1971年93.6くらいの水準です。
1970年より前に取得していれば現在より安く、
1971年以降に取得していれば現在より高い傾向にあります。
■工業地(全国)
2020年9月末指数 86.3
1972年75.7〜1973年87.3くらいの水準です。
1972年より前に取得していれば現在より安く、
1973年以降に取得していれば現在より高い傾向にあります。
もちろん都道府県や地域によって傾向は異なりますし、
個々の取引事情によって高い安いがあったりしますので、
あくまでも全体的な傾向の参考として。
【概算価格チェック】
顧問先・関与先会社が所有する不動産が
どれくらいの含み損益があるか知りたくないですか?
当事務所は概算価格の算定であれば、
無料の“ちょい聞き”サービスを使って頂けます。
是非ご活用ください。
「親名義の建物を子どもに売りたい」
「社長名義の土地を会社に売りたい」
「会社の土地を社長に売って地代を設定したい」等
親族間、同族間、社長と会社、関連会社間などで
名義を変えたい=譲渡したい
というご相談がこの頃非常に多いです。
【鑑定士に頼むメリット】
不動産鑑定士が作成する書類があれば、
譲渡価格が適正であることの根拠となります。
適正な価格を評価することはもちろん、
金融機関からの借入残債、会社との間での貸付金、
帳簿価額、月々返済額など、
様々な観点から適正価格を検討することができます。
【適正な価格とは】
“適正な価格かどうか”という観点は、
相続税法の「みなし贈与」に該当しないかどうかが
なにより重要になります。
相続税路線価や固定資産評価額をベンチマークとし、
評価の対象となる不動産を個別具体的に
不動産鑑定士の目線から評価していくことになります。
相続税法第7条
「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、
当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、
当該対価と当該譲渡があつた時における
当該財産の時価との差額に相当する金額を
当該財産を譲渡した者から贈与により取得したものとみなす。」
「時価」という概念は奥深いなと感じます。
【収益物件(賃貸マンション等)】
賃貸マンションなどの収益物件の場合、
親御さんの名義だったものを
子どもに譲渡したいと相談されるケースが多いです。
譲渡後の賃料収入が子どもに入るため、
親御さん名義の財産が増えて
将来の相続税が高くなることを防ぐ効果があります。
このような場合は、みなし贈与だけではなく、
将来的な相続人間の争いの種にならないように
気を付ける必要があります。
【事業用物件】
会社の建物が建っている土地が、
実は社長や社長の親御さん名義だったりすると、
事業とは関係のないところで
会社が相続問題に巻き込まれるリスクがあります。
相続問題が起きないうちに、
今一度事業用の土地建物の名義を
整理しておくことをお勧めいたします。
【賃料設定】
社長ないし会社の土地建物のうち、
どちらかを譲渡して賃料を設定したいという
ご相談もよく頂きます。
このような場合は、譲渡価格の適正さだけではなく、
賃料をいくらにすればよいかというご相談も含めて
ご依頼頂くことが多いです。
あまりに高額or低額な賃料設定だと、
将来的に問題になるケースが出てきます。
決めてしまってからでは大変ですので、
適正な範囲を知ってから
賃料を決めるほうがよいのではないでしょうか。
「建物にアスベスト等の有害物質があるかどうか、
どうやったら調べられますか?」
というご質問もよく頂きます。
【評価に与える影響】
アスベストは不動産価格に対して減価要因となります。
・建物利用者の健康リスク増大。
・建物解体費が高くなる。
・解体しなくても、アスベスト除去・管理費用がかかる。
・心理的嫌悪感や建物のイメージダウン 等
実務では「アスベストは考慮外とする」として
評価条件を付して外してしまうことが多いです。
現地調査でアスベストが確認できるかどうか、
専門調査機関による調査結果があるかどうか、
個別具体的に判断していくことになります。
【新築年次での確認方法】
詳細は専門調査機関による調査が必要ですが、
建物の新築年次で概ねの傾向を把握することができます。
■昭和50年10月まで
アスベスト含有量5重量%超の
吹付アスベスト原則禁止前の建築物
■昭和50年10月〜
アスベスト含有量5重量%超の
吹付アスベスト原則禁止以降の建築物
■昭和55年〜
日本石綿協会の自主規制による
アスベスト含有ロックウール製造禁止以降の建築物
■平成元年〜
建設省通則個別指定の石綿含有吹付け材の
製造中止以降の建築物
■平成7年4月〜
特定化学物質等障害予防規則改定による
アスベスト含有量1重量%超の建材禁止以降の建築物
■平成18年9月〜
石綿障害予防規則改正による
アスベスト含有量0.1重量%超の建材禁止以降の建築物
【不動産鑑定評価基準】
建物に関する個別的要因の中に
「有害な物質の使用の有無及びその状態」があり、
「建設資材としてのアスベストの使用の有無及び
飛散防止等の措置の実施状況並びに
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に
特に留意する必要がある」とされています。
【アスベストとは】
厚生労働省ホームページによると、
「天然に産する繊維状けい酸塩鉱物」です。
「繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの
施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において
所要の措置を行わないと石綿が飛散して
人が吸入してしまうおそれがあります。」
「以前はビル等の建築工事において、
保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、
昭和50年に原則禁止されました。」
「その後も、スレート材、ブレーキライニングや
ブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、
現在では、原則として製造等が禁止されています。」
「建物が適法かどうか、
どうやったら調べられますか?」
というご質問もよく頂きます。
売買やM&Aの際に買主が気にしたり、
金融機関から融資を受ける際に、
建物の遵法性が問題になるケースがあります。
このような場合は、
建築確認と完了検査を受けているかを
まずは確認することをご提案してします。
【建築確認】
いわば“設計図”段階での適法性チェックです。
一定の適法性があると考えられます。
建築計画概要書を見ることによって、
その物件についてより詳しい情報も手に入ります。
確認番号・年月日もしっかりチェックしておきましょう。
なお、国土交通省ホームページの説明では、
「一定規模以上の建築物を建築しようとする場合には、
建築主は工事に着手する前に、
建築主事または指定確認検査機関に『確認申請書』を提出し、
その計画が建築基準法等の基準に適合していることの
確認を受けなければなりません。」
「建築基準法等の基準に適合していることが
確認されれば、『確認済証』が交付されます。」
と記載されています。
【完了検査】
建物が設計図通りに建築されたかどうかの検査です。
上記の建築確認は、設計図だけのOKですので、
実際そのとおりに建っているか検査をします。
建築確認と完了検査の両方が揃っていると、
その建物の適法性はかなり高くなります。
但し、完了検査後の増改築は反映されていませんので、
現況との異同については現地でしっかり調べる必要があります。
最近の建物であれば、80〜90%程度の割合で
ちゃんと完了検査を受けています。
しかし、昭和60年くらいまでの古い建物の場合は、
「建築確認は受けているが、完了検査は受けていない」
という建物が体感で30〜50%程度出てきます。
このような場合は、一級建築士さんなどに
建物の調査をお願いすることで
一定の適法性を担保できる場合もあります。
なお、国土交通省ホームページの説明では、
「完了検査とは、工事が完成した段階で、その建築物が
法令の基準に適合しているかを検査することをいいます。」
「建築基準関係規定に適合していると認めたものについて、
建築主のみなさまに対して『検査済証』が交付されます。」
と記載されています。
【調査方法】
市町村の建築指導課(建築確認担当課)や、
一部の市町村では所管する都道府県の建築担当課で
建築確認・完了検査の有無を調べることができます。
最近は様々な分野でネット閲覧が進んできましたが、
建築確認・完了検査については、まだまだ
市役所まで行かないと見せてもらえないことが多いです。
「4m未満の道路に接していると、
必ずセットバックしないといけないのですか?」
というご質問を頂くことがあります。
結論から言いますと、接面道路が
いわゆる「2項道路」の場合だけ
セットバックすることになります。
そして、セットバックは減価要因です。
土地価格が下がります。
市町村の建築指導課(建築基準法担当)のほか、
小さな市町村では所管する都道府県の担当課で
道路種別を調べることができます。
大きな市では、ネット閲覧できるところも増えました。
【セットバックとは】
■2項道路
建築基準法第42条第2項に指定された道路に接する土地は、
原則として道路中心線から両側に2m後退した線が
道路の境界線とみなされます。
2項道路は、幅員4m未満の道路の中から指定されます。
指定されてすぐにセットバックする必要は無く、
将来建物の建替え等を行う場合に、
その境界線まで後退(セットバック)することになります。
また、「一方後退」といって、
片側が崖や河川で後退できない場合には、
反対側のみが後退することとなり、
通常の倍のセットバックが必要になることがあります。
「2項道路」の道路区域がどこまでなのか、
土地と道路との間に水路が介在している場合等は
個別具体的に行政調査を行う必要があります。
■2項道路以外
2項道路以外の道路は、
たとえ幅員が4m未満でも
セットバックをする必要はありません。
【財産評価基本通達における評価】
「セットバックを必要とする宅地の評価」として、
「セットバックすべき部分については、
通常どおりに評価した価額から
70%相当額を控除して評価します。」とされ、
セットバック部分は▲70の減価となります。
【固定資産評価】
一般的に個々の土地のセットバック面積に応じて
減価を個別的に算定していることはなく、
そもそもの正面路線価に織り込んで
算定されていることが多いです。
固定資産税にも、相続税と同じような
路線価が敷設されていることは以前も書きましたが、
この路線価を敷設する際に、
幅員が狭くセットバックが必要な道路については
そもそもの路線価から下げていることが多いです。
そのため、セットバック減価無し=減額可能と
直結するものではありません。
【鑑定評価】
実際の市場では、セットバック部分は
価値ゼロとして取引されることが多いです。
そのため、鑑定評価においても、
セットバックの面積分を
そのまま減価することが多くなります。
正面路線価 100,000円/㎡
全体面積 100㎡
セットバック 3㎡
3㎡/100㎡=3% ▲3%
100,000円/㎡×100㎡×0.97=9,700,000円
というイメージです。
但し、建て替えするまではセットバックの必要はなく、
道路沿いの土地全てのセットバックが完了するまでは
ほぼ専用空間として利用できること、
幅員が広くなって土地利用がしやすくなること等もあり、
個別具体的に見ていく必要があります。
今回は無道路地の評価、
特に道路への通路を開設することについて
考えてみたいと思います。
実務をしていると、
通達評価や固定資産評価より、
現実的にはより大きな減価となる可能性が
高いのではないかと考えます。
【無道路地とは】
■接道義務
建築基準法上の道路に間口2m以上接面していないと、
その土地上に建物を建築することはできません。
建築基準法第43条
「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」
■減価要因
単独で土地利用ができないor非常に困難で、
道路に通じる権利を取得できて初めて利用可能になります。
その土地上に建物が建つか建たないかは、
土地の価格を倍半分変えるくらい大きな影響があります。
【財産評価基本通達における評価】
No.4620無道路地の評価で、
「最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額」
とされ、具体的には
正面路線価×通路部分の面積=通路開設費用となっています。
また、無道路地の価格の40%が上限です。
【固定資産評価】
「通路開設補正率」に基づき、
奥行距離によって減価率が異なります。
下記のとおり奥行距離だけで一律に評価されています。
奥行距離 減価率
10m以下 ▲10%
20m以下 ▲20%
30m以下 ▲30%
30m超 ▲40%
【鑑定評価】
「土地価格比準表(七次改訂)」(地価調査研究会編著)では
「現実の利用に最も適した道路等に至る距離等の状況を考慮し
取付道路の取得の可否及びその費用を勘案して
適正に定めた率を持って補正するものとする」
とされています。
通路開設の実現性と不確実性を
しっかり考慮して評価することになります。
【考 察】
一般的な市場において、
「最小限度の通路」部分だけを
路線価と同じ通常の相場で
取得できる可能性はどれだけあるでしょうか。
仮に取得できるとしても、
隣接地全部を買わないと売ってもらえなかったり、
開設通路上に建物があって取り壊しが必要だったり、
複数筆に分かれて所有者が異なっていたり、
生産緑地になっていたりetc.
現実的には大きな問題が出てきます。
隣接地からすると不合理分割になるかもしれず、
その分高値で買わないといけない場合もあるでしょう。
そして、その売買交渉が成功するとは限らず、
またある程度の交渉期間が必要になってきます。
そうすると、最小限度の通路を想定したり、
奥行距離で一律評価したりすることだけでは、
必ずしも「時価」とは言えない場合も出てきそうです。
国土交通省から11月19日に発表された
地価LOOK令和2年第3四半期(7/1〜10/1)、
近畿圏について詳しく見ていこうと思います。
【全国概況】
「前期に引き続き今期も
1地区を除いて横ばい又は下落となった。」
「用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高い。
地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高い。」
「新型コロナウイルス感染症の影響により、
ホテルや店舗等の収益性低下による需要の減退が一部で見られるが、
全体としては需要者の様子見傾向が継続している。
「リーマンショック時の地価下落の主因となった、
マンションやオフィスの需給バランスに
大きな変化は見られていない。」
大都市圏の商業地を中心に下落割合が高いですが、
一部を除いて“暴落”というのはないようです。
リーマンショックと今回のコロナ禍はかなり違いますね。
全国100地点のうち1地点だけの上昇地点は
札幌市の駅前通で、容積率の緩和(最大1050%→1200%)等が
要因となり、3%〜6%の上昇とのことです。
実際に近畿圏ではどのようになっているのでしょうか?
【近畿圏の動向】
■滋賀県
住宅地 南草津駅周辺 0%横ばい
商業地 調査地区設定なし
■京都府
住宅地 下鴨 0%横ばい
桂 0〜3%下落(前期0%横ばい)
二条 0〜3%下落
商業地 京都駅周辺 0〜3%下落
河原町 0〜3%下落
烏丸 0〜3%下落
■大阪府
住宅地 豊中 0%横ばい
天王寺 0%横ばい
福島 0〜3%下落
商業地 西梅田 0〜3%下落
中之島西 0〜3%下落
北浜 0〜3%下落
OBP 0〜3%下落
新大阪 0〜3%下落
阿倍野 0〜3%下落
江坂 0〜3%下落
茶屋町 3〜6%下落
心斎橋 3〜6%下落
なんば 3〜6%下落
■兵庫県
住宅地 六甲 0%横ばい
甲子園口 0%横ばい
芦屋 0%横ばい
商業地 西宮北口 0〜3%下落
三宮駅前 0〜3%下落(前期3〜6%下落)
■奈良県
住宅地 奈良登美ヶ丘 0%横ばい
商業地 調査地区設定なし
■和歌山県
調査地区設定なし
【前期からの変動】
近畿圏の地点は下記の2地点を除き、
第二四半期と同じ地価動向でした。
一方、京都・桂の住宅地は、
「学生向け賃貸収益物件に対するリスクが高まり、
分譲マンションについては建築費が高止まりであることや
最終需要者が慎重な姿勢を見せていることから
投資採算性の点からやや開発意欲が減退している。」
として横ばいから下落に転じました。
また、神戸・三宮駅前の商業地は
「他の都市と比較して地元客の割合が高いこと等から、
当地区に隣接する大手百貨店の令和2年8月の
売上高は同4.6%減で留まっており、
当地区の客足も回復傾向にある。」
として、下落率がやや縮小しています。
「固定資産評価額の算定過程が知りたいが、
どうしたらいいのでしょうか?」
というご相談を頂くことがあります。
結論から言いますと、
「市町村の税務課(固定資産税担当課)に
所有者の委任状を持って、聞きに行ってください。
わかりにくい場合は、鑑定士が代わりに聞いてきます。」
とお答えしています。
【縦覧と閲覧】
固定資産税には、「縦覧」と「閲覧」の
2つの制度があります。
■縦 覧
「納税者が、自己の土地・家屋の価格を
同一区市町村内の他の土地・家屋の価格と比較し、
所有する固定資産の内容等を確認するための制度」です。
縦覧は、縦覧できる期間が決まっています。
(概ね4月〜6月くらいの間が多いです。)
■閲 覧
「納税義務者(所有者)は、自己の資産について、
固定資産課税台帳を、年間を通じて閲覧することができます。」
閲覧であれば、上記縦覧とは違い、
いつでも所有者が自分の土地建物の価格を閲覧できます。
また、所有者ではなくても、土地建物の賃借人など
利害関係人であれば、閲覧することができます。
本人確認書類のほか、賃貸借契約書等も必要となります。
【課税説明】
固定資産評価額がどのような計算過程を経て決まっているのか。
どのような要因が考慮されて、
いつまでの地価動向が反映されているのか。
課税説明を受ければ、教えてもらえます。
市町村の固定資産税担当課に行って、
「○○番の土地の課税説明をお願いしたいです。」
と言えばOKです。
(その際、委任状や本人確認書類等の提示が必要です。)
国税の相続税評価額の評価明細書のように
いくらの価格からスタートして、
どのような補正が入って、
どのような評価額になったかを教えてもらえます。
たとえば、
正面路線価 100,000円/㎡
奥行価格補正 0.90
不整形補正 0.80
100,000円/㎡×0.90×0.80=72,000円/㎡
72,000円/㎡×300㎡=21,600,000円(評価額)
というようなイメージです。
課税説明を聞くことによって、
固定資産評価額がどのように算定され、
どのような事項が考慮されているかわかります。
上記の例で言えば、土地上の建物が存すること、
土壌汚染があること、方位補正等は考慮されていませんので、
時価評価の際に別途考慮しても問題はありません。
一方、不整形であることは既に考慮されていますので、
固定資産評価額に対し、さらに不整形減価を考慮することは
ダブルカウントとなって適正ではないことになります。
【固定資産税】
固定資産税は、シャウプ勧告を契機として行われた
昭和25年の地方税制度の根本的改革に伴い創設されました。
固定資産の保有と、市町村が提供する行政サービス
との間に存在する受益関係に着目し、
応益原則に基づき、所有者に対して課税する財産税です。
市町村税収の実に4割を占めている重要な税金です。
大阪府から11/18に
「府内市町村の基準宅地に係る路線価等(令和3年度)」
が発表されました。
http://www.pref.osaka.lg.jp/shichoson/zei/rosen02.html
路線価と言えば、国税庁の相続税路線価ですが、
固定資産税にも、独自の路線価があります。
税務署に特定路線価の設定を申請した場合、
市の税務課さんに問い合わせがあったり、
市の路線価を参考にされたり、
相続税路線価と固定資産路線価は密接な関係があります。
【基準宅地とは】
その市町村における最も価格が高い宅地のことです。
一般的には、駅前一等地が該当することが多く、
この基準宅地を価格の頂点として、
市町村内の価格バランスを図っていくことになります。
【大阪府の動向】
「令和3年度の府内市町村(大阪市を含む43市町村)
における基準宅地の路線価等の評価額は、
令和2年度からの変動割合は、単純平均でプラス11.9%
平成30年度(前回評価替え)からの3年間の変動割合は、
単純平均でプラス11.4%」
とのことです。
前回評価替え(R29.7.1価格)とR2.7.1価格との比較では、
■上昇 28市町
1位 豊中市 新千里東町一丁目(駅前通り)
2位 吹田市 豊津町(国道479号線)
3位 大阪市 北区角田町(御堂筋)
■下落 13市町村
1位 千早赤坂村 小吹台(バス停前通り)
2位 岬 町 淡輪(府道淡輪停車場線)
3位 豊能町 東ときわ台三丁目(町道吉川中央線)
なお、これまでも負担調整措置があるほか、
この上昇率が来年度そのまま税額アップに
直結するということにはなりません。
【固定資産評価額と地価動向】
固定資産評価額は、
地価上昇補正は3年に一度の評価替えのみ。
地価下落補正は毎年反映されることになっています。
地価上昇の場合の例を挙げると、
実際の地価動向 固定資産評価額
初年度 100 100
1年目 110 100
2年目 120 100
評価替 130 130
また、地価下落の場合は、以下のとおりです。
実際の地価動向 固定資産評価額
初年度 100 100
1年目 90 90
2年目 80 80
評価替 70 70
実務でもよく見かける固定資産評価額、
どのように算定されているのか、
どこまでの地価動向が反映されているのか、
しっかり把握しておくことをご提案いたします。
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

などなどお気軽に「ちょい聞き」してください!
TEL:077-596-5753(電話受付:平日 9:00〜17:00)
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