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士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/08/16

商業地の固定資産税の据え置き検討

 

814日の日経新聞1面に

「商業地 固定資産税上げず」

という記事が掲載されました。

 

「公示地価の上昇により

企業が新型コロナウイルス禍で

増税に陥る懸念があることに対応する。」

とされています。

 

詳細は2021年度税制改正とのことですが、

鑑定士的に感じたことを書いていこうと思います。

 

3年に1度の評価替え

 

固定資産税は、3年に1度評価替えを行います。

直近だと平成30年度に行われ、

次の評価替えは令和3年度となっています。

 

そのため、来年4月〜5月頃には、

評価替済みの納税通知書がお手元に届きます。

 

地価上昇・地価下落

 

地価が下落している地域は、

3年に1度の評価替えだけではなく、

毎年下落修正を行って評価額に反映しています。

 

一方、地価が上昇している地域は、

評価替えの際に3年分の地価上昇が一気に反映され、

中間年度は評価額が据え置かれます。


 

直近3年間の地価動向(商業地)

 

直近3年間は、景況感やインバウンドの影響で、

市街地中心部や観光地などで大きな地価上昇がありました。

 

年間数十%上昇した地域もけっこうあり、

3年間の累積だと倍になっているところもあります。

日経記事では、北海道のニセコは3.4倍になったとも。

 

ここで問題点

 

固定資産評価額は、裁判上・会計上・税務上の評価

簡易に土地の評価がわかる指標として活用されています。

 

しかし、地価上昇分の反映が3年に1だと、

地価上昇著しい地域などでは、

実勢価格と大きく乖離してしまうことになります。

 

さらに、今回の商業地の固定資産税据え置き報道、

どのような形で据え置くのか非常に興味深いです。

仮定をつけて、以下検討してみたいと思います。

 

据え置き方法

 

まず、「評価額」を据え置く場合です。

来年の評価替えで、評価額そのものを据え置いたとしたら、

現在の評価額がそのままとなり、

結果として平成30年度の価格が「時価」として

表示されることになります。

 

平成30年から3年分の地価上昇が反映されないだけでなく、

次の評価替え(令和6年)までこの評価額が続くことになります。

(地価下落修正は除きます。)

 

一方、「課税標準額」を据え置く場合です。

評価額は地価上昇を反映して、最新のものにするが、

税額を計算する時に使う課税標準額は据え置くとする場合です。

 

この場合だと、評価額は最新となり、

課税標準額のみがそのまま据え置かれるので、

評価額を用いて不動産の価格を概算する場合、

実勢価格に近い数字となります。

なんとなく、こちらのほうがしっくりくる気がします。

 

最後に

 

「据え置き」はどこかで終わるので、

終了後は急激な評価額の変動=税額の変動を避けるため、

現在もある負担調整措置等を活用するのでしょうか。

 

なお、建物の評価額も3年に1度の見直しです。

ですので、令和3年の評価替えの際に、

平成30年からの3年分“減価償却”されたものが

評価額としてお手元に届くことになります。

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