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士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/10/31

金融機関向けの不動産担保評価も

不動産鑑定士の仕事です。

 

今回はその中でも土地(更地)の場合に

現地調査で特に気を付けていることをご紹介します。

 

【担保評価の原則】

 

担保評価は「現況評価」が大原則です。

 

たとえば、土地上に未登記建物があるが

当該建物が無いものとしてという条件は、

担保処分の際に大きな問題となる可能性があり、

担保価値に影響があるため認められません。

 

【チェックポイント】

 

■境界確定の有無、隣接建物の越境など

境界が決まっていなかったり、

境界紛争があるような場合は、

将来的に地積が変わってしまう可能性や

そもそも売りにくいという問題があります。

 

隣接建物の越境についても、

将来的に問題になることがあります。

 

軒先だけのでっぱりなのか、

建物自体が越境しているのか、

コンクリートブロック塀がいつの間にか

数十センチ移動されていたり。

14条地図が整備されているとホッとします。

 

物件範囲の確定は、

全ての基本だけに非常に重要です。

 

■未登記建物、工作物・構築物等の有無

土地の上に未登記建物があって、

主建物の附属でセットかなと思っていると、

実は他人が所有する建物だったり。

 

既に賃貸借契約を結んでいたり、

担保の範囲に含まれないような

立派な独立した建物が建っていたり。

 

会計監査等では「実在性」が重要だったりしますが、

担保評価の場合は“建物がある”ことのほうが

問題になるケースも多いです。

 

■取壊済建物の登記の有無

本当に現存しないのか

登記が残っていることでの問題があるのかどうか。

可能であれば滅失登記ができるかどうか。

 

■借地権・一時賃貸借・使用貸借・無断使用の有無

わかりやすく建物が建っていると

何らかの権利関係があるのだと予想できますが、

パッと見は何も問題なくても、

実は貸していた、借りていたという場合も。

 

土地の一部ないし全部が使えないことは

担保価値に大きな影響を及ぼします。

特に、借地権が設定されている場合は、

借地権割合からもわかるように多大な影響があります。

 

また、契約書がなく、借地しているものの

どの範囲が該当するのかわからないこともあります。

建物の建築面積÷建蔽率で

最低限の借地面積を類推するなど対応が必要です。

 

■地目変更手続きの有無

現況宅地となっているのに、

登記地目が田・畑となっている場合、

地目変更登記手続きがされているか、

そもそも地目変更手続きが可能かを確認します。

 

特に、市街化調整区域の場合は、

地目変更が必ずしもスムーズとは限りませんし、

無許可で宅地転用し、

無許可の未登記建物が建っているなど

問題になるケースもあったりします。


2020/10/27

生産緑地についての研修会に参加してきました。

2022年問題、相続対策、不動産市場予測など

非常に興味深い内容でした。

 

不動産鑑定士も生産緑地の評価を

依頼されるケースがありますので、

評価について考えてみました。

 

【生産緑地とは】

 

市街化区域にある農地のうち、

生産緑地地区の指定を受けた農地です。

 

面積は500㎡以上が基本で、

平成4年(1992年)に

指定を受けた生産緑地が大半です。

 

<メリット>

・固定資産税が農地並み課税で非常に安いこと

・相続税の納税猶予を使うと、評価が非常に安くなる。

 

<デメリット>

・生産緑地に指定されている間(30年間)の営農義務。

・納税猶予を使うと、死ぬまで営農義務。

(生産緑地指定と関係なし)

 

【財産評価基本通達における評価】

 

No.4626 生産緑地の評価」

 課税時期から、買取りの申出をすることが

できることとなる日までの期間により

以下のとおり減価割合が定められています。

 

すぐに申出できるもの          5

5年以下のもの       ▲ 10%

5年を超え10年以下のもの ▲ 15%

10年を超え15年以下のもの ▲ 20%

15年を超え20年以下のもの ▲ 25%

20年を超え25年以下のもの ▲ 30%

25年を超え30年以下のもの ▲ 35%

 

【鑑定評価】

 

生産緑地について、建築物の新築、

宅地造成などを行う場合には、

市町村長の許可を受けなければなりません。

 

しかし、この許可は、農産物の生産集荷施設や

市民農園の施設等を設置する場合以外は、

原則として許可されないことになっています。

 

財産評価基本通達は、このような

市街化区域で宅地化も可能な土地なのに、

一定期間農地としてしか使えないことを

考慮した減価になっているということになります。

 

<開発許可との関係>

生産緑地は、解除されれば宅地利用が可能ですが、

そもそもその生産緑地は宅地化できるのでしょうか。

 

生産緑地の主たる需要者としては、

開発素地を求める不動産業者(デベロッパー)

が想定されます。

 

生産緑地が多く存在するのは、都市の外辺部です。

そもそもその地域に宅地需要はあるのか、

そもそもその生産緑地単独で開発可能なのか

 

周辺も生産緑地に囲まれてしまっていたり、

道路要件で開発許可が不可能であったり、

そもそも生産緑地が解除されたとしても

宅地化が見込めない物件もかなりあると思います。

 

このような場合は、買取申し出までの

期間のみの減価だけを考えるのではなく、

そもそも「生産緑地でないものとして評価した価格」が

適正かどうかをしっかり検討する必要があります。

 

単に、正面路線価×地積×画地計算のみでは、

時価を超えて過大に評価してしまう可能性があります。

 

【その他】

 

余談ですが、生産緑地の申出期間による減価割合と

配偶者居住権で適用される複利現価率

 

土地利用可能性などを反映して、

同じ期間であっても率が異なることが興味深いです。


2020/10/25

高低差がある土地について、

居住の快適性から見た住宅地に続いて、

商業地について見ていきたいと思います。

 

【道路より高い土地】

 

<プラス要因>

日照・通風・排水・眺望等に優れるため、

プラス評価です。

 

特に、リゾートホテルのような物件の場合は、

眺望の良さは大きなプラス評価となります。

 

商品宣伝効果の面から見ても、

看板などの視認性が高まることから、

基本的にプラス評価です。

 

<マイナス要因>

あまり高い場合は、顧客を引き寄せにくくなり、

徒歩や車を問わず、出入りの便も悪くなってしまいます。

 

また、擁壁や階段を設置する必要が出てくるなど、

費用面からもマイナスになることがあります。

 

さらに、衣料品や食料品店舗の場合は、

道路より高い→日照が良いこともあり、

日照による商品の劣化を速めることもあるので、

必ずしもプラス評価となるとは限りません。

 

【道路より低い土地】

 

<プラス要因>

ありません。

 

<マイナス要因>

あまり低い場合は、顧客を引き寄せにくくなり、

徒歩や車を問わず、出入りの便も悪くなってしまいます。

 

また、住宅地と同じように

日照・通風・排水・眺望等が劣るため、

マイナス評価です。

 

周辺の雨水・排水が流入し、

敷地内が水浸しになるほか、

土地上の建物にも水没や湿気等で

大きなダメージを与えることになります。

 

また、道路と等高にするための造成工事

多額の費用がかかってしまったり、

擁壁費用(土止費)が過大になることもあります。

 

道路から低いと、看板なども見えにくくなり、

商品宣伝効果の面からマイナスになります。

 

【まとめ】

 

道路より低い土地は、

住宅地でも商業地でもプラスは無く、

道路より高い土地は、

利用の仕方によってプラス評価となります。

 

【相続税路線価】


相続税路線価でも、

等高な土地ばかり並んでいる時に

対象地だけ道路と一定以上の高低差があると、

上記のようなプラスマイナスが付きます。

 

しかし、全ての土地が同じように

道路と高低差があるような場合は、

高低差があることがそもそもの正面路線価に

織り込まれている場合もありますので、

どのような前提で評価をしているか注意が必要です。


2020/10/23

「高低差がある土地」って?

前の道路より高くor低く接している

土地のことです。

 

住宅地ですので、角地と同じように

「居住の快適性」の観点から見ていきます。

 

【道路より高い土地】

 

<プラス要因>

日照・通風・排水・眺望等に優れるため、

居住の快適性としてプラス評価です。

 

道路より高いと、周辺の雨水・排水も入ってこないし、

道路より高くしている家って多いですよね。

 

このように、ほどほどの高さの土地はプラス評価です。

 

<マイナス要因>

一方、バリアフリーの観点からは、

階段を使って家に入ることになりますので、

必ずしもプラスとは言えません。

 

また、近年の土砂災害の多さなどから、

あまり高低差があるような住宅地は

災害リスクがあるため敬遠される傾向にあります。

 

さらに、一定以上の高さになってくると、

擁壁工事、階段や掘り込み車庫などの設置費用

かなり高くなってきます。

 

特に、擁壁については、

古くて耐久性がなく危険性が高い場合

かなり多額の工事費になるので要注意です。

 

このように一定以上の高さの場合、

マイナス要因のほうが強くなってきます。

 

【道路より低い土地】

 

<プラス要因>

ありません。

 

<マイナス要因>

日照・通風・排水・眺望等が劣るため、

居住の快適性としてマイナス評価です。

ちょうど道路より高い土地と正反対ですね。

 

同じように、周辺の雨水・排水が流入し、

敷地内が水浸しになるほか、

土地上の建物にも水没や湿気等で

大きなダメージを与えることになります。

 

また、道路と等高にするための造成工事

多額の費用がかかってしまったり、

擁壁費用(土止費)が過大になることもあります。

 

【まとめ】

 

道路より高い土地は、

一定の高さまではプラス評価ですが、

一定以上になるとマイナス要因が強くなり、

道路より低い土地はマイナス要因のみ。

 

高低差1つ取ってみても、

いろんな見方がありますね。


2020/10/21

「角地」は当然プラス評価!?

 

前回の住宅地に続いて、

今回は商業地について見ていきたいと思います。

 

住宅地は「居住の快適性」が重要でしたが、

商業地は「収益性」が重要になってきます。

 

【日照・通風】

 

住宅地とは違って、

角地による日当たりの良さは

必ずしもプラスにはなりません。

 

小売店などでは、日当たりの良さが

商品の劣化を速めることもあったりして、

逆にマイナスになってしまうこともあります。

 

商業地の鑑定評価の場合、

通常は方位でプラス評価をしないことからも、

角地による日照・通風の良さは限定的だと考えます。

 

【間口・奥行・形状等】

 

顧客の出入りの便がよくなり、

視認性アップなど商品の宣伝効果が高く、

売上収益に直接影響するため、プラス評価です。

 

また、住宅地と同じように

建物の配置や設計上の多様性が増えるなど、

集客の点からも優れているため、プラス評価です。

 

【接面道路との関係】

 

2つの道路から人の流れを吸引できるため、

収益性が高まり、プラス評価となります。

 

ただ、接面道路の幅員があまりに広い場合は、

その道路が地域を分断してしまい、

全体としての繁華性が低くなってしまう等、

必ずしもプラス評価とならない場合もあります。

 

【公法上の規制・制約】

 

商業地域内で防火指定がある場合は、

建蔽率や使用可能容積率がアップしますので、

住宅地以上に大きなプラス評価となります。

 

「消防隊に憲兵さんはいない」

商業地域、防火地域、耐火建築物の場合は、

建蔽率が100%となると

宅建の試験でゴロ合わせて覚えた記憶があります()

 

ただ、側道の斜線制限などで

高度利用ができなくなってしまう場合は、

住宅地以上に大きなマイナスになってしまうことも。

 

【まとめ】

 

住宅地と同じように、商業地の場合でも、

立地条件や土地利用方法によっては

マイナスになってしまうこともあります。

 

その角地は本当にプラスなのか。

また、どれくらいプラスなのか。

個別具体的にしっかり見ていく必要があります。


2020/10/19

「角地」は当然プラス評価!

 

そんな当たり前に思う角地ですが、

どうしてプラス評価になるのか、

どんな時でもプラス評価になるのか、

しっかり考えたことはありますか?

 

今回は住宅地の角地について

見ていきたいと思います。

 

【日照・通風】

 

日照・通風に良い影響を与えることから、

角地であることはプラス要因になります。

 

特に、家が密集した小規模な住宅地などでは、

通常より大きなプラスの影響があります。

 

方位によっても角地の影響の大きさは異なり、

一般的には「東南の角地」が優れるとされます。

 

【間口・奥行・形状等】

 

出入りの利便性の向上、避難経路の確保、

建物設計上の多様性の確保など、プラス要因です。

 

また、うなぎの寝床のような土地が多い地域では、

間口の狭さをカバーしてくれることにもつながります。

 

【接面道路との関係】

 

二方向から人や車の往来があるため、

騒音や交通面での危険性がある場合などは

マイナス要因になることもあります。

 

特に、閑静な住環境が重要な高級住宅地では、

騒音は大きなマイナス要因になることもありますので、

角地=一律プラスとせず、

地域の実情をしっかり把握することが大切です。

 

【公法上の規制・制約】

 

どちらも幅員6m以上の市町村道である場合など、

一定の場合は建蔽率が10%緩和され、

プラス要因になります。

 

一方、正面道路は広くても、

側道が4m未満の2項道路の場合などは、

セットバックが必要となり、

マイナスに作用する場合もあります。

 

さらに、中高層マンションが建つ場合は、

側道の幅員が狭いと、高度利用ができなくなって

マイナスに作用してしまうこともあります。

(道路斜線制限は、隣地斜線制限より厳しい)

 

【まとめ】


このように、一般的に角地=プラスのイメージでも、

立地条件や土地利用方法によっては

マイナスになってしまうこともあります。

 

その角地は本当にプラスなのか。

当たり前に思ってしまうことだけに、

今一度しっかり見てみるのも良いのではないでしょうか。


2020/10/15

周辺の標準的な画地に比べて、

規模の大きな画地を評価する場合、

平成30年から財産評価基本通達では

「規模の大きな画地の評価」が新設されました。

 

詳細の内容は国税庁ホームページの

No.4609地積規模の大きな宅地の評価」

ご確認頂くとして、この規模補正は

固定資産評価でも同じように適用されているのでしょうか。

 

【財産評価基本通達】

 

基本的に、三大都市圏は500㎡以上の宅地、

三大都市圏以外は1,000㎡以上の宅地が対象です。

 

地積規模の大きな宅地に該当すると、

ざっと20%以上の減価となります。

広大地がなくなり、平成30年から新設されました。

 

【固定資産評価】

 

同じ公的評価であることから、

国税と同じように規模補正はあるのでしょうか。

 

各市町村により定めている「所要の補正」の

内容が異なるため一概には言えませんが、

国税の「規模の大きな画地の評価」のような

規模補正を持っていないところが大半だと思います。

 

この規模補正を持っていないということは、

財産評価基本通達で評価した場合よりも

高く評価されている可能性があるということです。

 

仮に、固定資産評価において、

画地規模100㎡を標準として100,000/㎡と

単価が決まっているとしましょう。

 

一方、対象地は上記の100㎡の土地に隣接する

規模が大きな1,000㎡の画地です。

 

対象地が、間口が広く、奥行がそれほど長くない

整形地であったとすると、100㎡の土地と同じ

100,000/㎡の単価が付いている可能性があります。

 

三大都市圏の「規模の大きな画地の評価」であれば、

22%の規模補正がされるにもかかわらず、

固定資産評価においては規模補正±0となっていることも。

 

これはなにも市町村の故意や過失で

高く評価しているのではなく、

市町村が持っている「所要の補正」の中に

このような規模補正の項目を持っていないことが原因です。

 

所要の補正の規模補正項目としては、

大規模評価として、50,000㎡以上の大規模工場について

一定の規模補正を持っている程度の市町村が多いと思います。

 

【両者の違いを明確に】

 

このブログで固定資産評価は間違っている!

と言いたいわけではありません。

 

どうしても評価額のみに目が行きがちですが、

その評価額はどのような算定過程で出てきたものなのか

しっかり見ておくことが大切だと言いたいです。


2020/10/07

レントロールを送って頂きたいです」

ご相談を頂いた時に、

収益物件であれば必ずお願いすることです。

 

レントロールの内容によっては、

評価が大きく変わってくることになります。

 

特に、コロナ禍での賃料減額要請が多い中、

収益の変動は価格にも大きく影響を与えます。

 

賃料が高い、今後増額見込みであれば、価格は高く。

賃料が安い、今後減額見込みであれば、価格は安く。

 

単なる土地の坪単価と建物の築年数だけではない、

“見方を変えた”収益性から評価をすることができます。

 

そのため、固定資産評価額や相続税評価額から

大きく価格が変わる可能性があります。

 

【収益物件】

 

収益物件とは、テナントビル、店舗、事務所、

賃貸マンション、アパート等、

収益を目的として建てられている物件のことです。

 

収益物件は、いくら収益が上がるか

時価(市場価値)を決める最大のポイントです。

 

不動産広告でも、表面利回り〇%、満室想定〇%など

利回りが書かれているものをご覧になられたことも

多いのではないでしょうか。

 

【レントロール】

 

レントロールとは、

不動産の賃貸借条件を一覧表にしたものです。

 

各階や部屋ごとに月額賃料、共益費、

保証金・礼金、その他賃貸借条件が書かれています。

 

もちろんレントロール自体が無くても大丈夫です。

概算だけであれば、ざっくり月の収入額をお伺いしたり、

賃貸借契約書、決算書、青色申告書などにも

月額賃料などの数値は記載されています。

 

【コロナ禍による影響】

 

テナントの撤退や賃料の減額要請は、

収益性の低下=物件価格の低下に直結します。

 

さらに、現在は先行き不透明感が強いため、

会社の事業計画も立ちにくいのが現状だと思います。

 

将来の収益予測も同様で、

抜けたテナント部分に新規入居は見込めるのか。

次の賃料は今と同じか、今より下がるのか。

非常に判断が難しい状況にあります。

 

今後の見通しなども含めて、

しっかり内容を協議した上で

説得力ある適正な評価をしていきたいです。


2020/10/05

鑑定評価には、土地評価の際に

周辺の売買実例価格(取引事例)から

価格を求める方法があります。

 

取引事例比較法といって、

市場性、マーケットアプローチから

価格を求める手法です。

 

【実務上の問題点】

 

この中でよく質問を受けるのが、

どのような売買実例価格(取引事例)を

選んでいるのか?ということです。

 

極端な話、高い事例から評価したら高くなり、

安い事例から評価したら安くなります。

評価主体の恣意性が疑われるケースもあったりします。

 

裁判上の評価等でも、高く評価したい方は

高い事例に基づいてこの土地は高いと主張し、

安く評価したい方は安い事例に基づいて安いと主張し、

平行線をたどってしまうケースも多いです。

 

実際の売買ですから、路線価=取引価格と

1点で決まるものではなく、

市場における中心価格帯という“幅”の中に

入っているかが大切だと考えます。

 

とはいえ、この幅の上下はそれなりにあって、

“ストライク高め”と“ストライク低め”では、

どちらも正しいけど、価格はかなり違う

というようなことも起こったりします。

 

【事例選択4要件】

 

鑑定評価のルールである不動産鑑定評価基準では、

何でも自由に事例を採用してもよいわけではなく、

ちゃんとルールに則って選択・採用しましょうと

4つの要件が定まっています。

 

■場所的同一性

同一需給圏内の類似地域等に存する不動産であること。

同一需給圏内の代替競争不動産であること。

 

■事情の正常性(事情の正常補正可能性)

取引等の事情が正常なものと認められるものであること。

正常なものに補正することができるものであること。

 

■時点修正可能性

時点修正をすることが可能なものであること。

 

■地域要因及び個別的要因の比較可能性

地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

 

上記のほか、投機的取引はそもそもダメですし、

その他適正を欠くと認められる事例も選択・採用できません。

 

事例が豊富にある住宅団地などは

良い事例を多数収集して選択・採用できるのですが、

大規模工場や農家集落地域など、

取引事例がそもそも少ないところは

どのような事例を採用するか鑑定士の腕の見せ所です。

 

最終結果である鑑定評価額だけを見るのではなく、

どんな事例に基づいて評価をしているのかなと

評価の過程も見て頂けるとうれしいです。

士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

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