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士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/11/22

「固定資産評価額の算定過程が知りたいが、

どうしたらいいのでしょうか?」

というご相談を頂くことがあります。

 

結論から言いますと、

市町村の税務課(固定資産税担当課)

所有者の委任状を持って、聞きに行ってください。

わかりにくい場合は、鑑定士が代わりに聞いてきます。」

とお答えしています。

 

【縦覧と閲覧】

 

固定資産税には、「縦覧」と「閲覧」の

2つの制度があります。

 

■縦 覧

「納税者が、自己の土地・家屋の価格を

同一区市町村内の他の土地・家屋の価格と比較し、

所有する固定資産の内容等を確認するための制度」です。

 

縦覧は、縦覧できる期間が決まっています。

(概ね4月〜6月くらいの間が多いです。)

 

■閲 覧

「納税義務者(所有者)は、自己の資産について、

固定資産課税台帳を、年間を通じて閲覧することができます。」

 

閲覧であれば、上記縦覧とは違い、

いつでも所有者が自分の土地建物の価格を閲覧できます。

 

また、所有者ではなくても、土地建物の賃借人など

利害関係人であれば、閲覧することができます。

 

本人確認書類のほか、賃貸借契約書等も必要となります。

 

【課税説明】

 

固定資産評価額がどのような計算過程を経て決まっているのか。

どのような要因が考慮されて、

いつまでの地価動向が反映されているのか。

課税説明を受ければ、教えてもらえます。

 

市町村の固定資産税担当課に行って、

「○○番の土地の課税説明をお願いしたいです。」

と言えばOKです。

(その際、委任状や本人確認書類等の提示が必要です。)

 

国税の相続税評価額の評価明細書のように

いくらの価格からスタートして、

どのような補正が入って、

どのような評価額になったかを教えてもらえます。

 

たとえば、

正面路線価 100,000/

奥行価格補正 0.90

不整形補正  0.80

 

100,000/㎡×0.90×0.8072,000/

72,000/㎡×300㎡=21,600,000円(評価額)

 

というようなイメージです。

 

課税説明を聞くことによって、

固定資産評価額がどのように算定され、

どのような事項が考慮されているかわかります。

 

上記の例で言えば、土地上の建物が存すること、

土壌汚染があること、方位補正等は考慮されていませんので、

時価評価の際に別途考慮しても問題はありません。

 

一方、不整形であることは既に考慮されていますので、

固定資産評価額に対し、さらに不整形減価を考慮することは

ダブルカウントとなって適正ではないことになります。

 

【固定資産税】

 

固定資産税は、シャウプ勧告を契機として行われた

昭和25年の地方税制度の根本的改革に伴い創設されました。

 

固定資産の保有と、市町村が提供する行政サービス

との間に存在する受益関係に着目し、

応益原則に基づき、所有者に対して課税する財産税です。

 

市町村税収の実に4割を占めている重要な税金です。


2020/11/18

私道(わたくしみち)の評価について、

「道路だから価値ゼロでいいですか?」

というご質問を頂くことも多いです。

 

もちろん価値ゼロの場合も多いですが、

必ずしも価値ゼロとならない場合もありますので、

順番に見ていきましょう。

 

【私道とは】

 

民間(法人・個人)が所有し、管理する道路で、

国・都道府県・市区町村が法律に基づいて築造管理する

公共性ある道路(公道)以外の道です。

 

私道は、以下の3つに分けられます。

 

■準公道的私道

一般に公衆の用に供されているが、

私人の所有に属し、

多くは行政庁に管理されているもの。

(開発道路や位置指定道路など)

 

■共用的私道

私道に接面する複数の画地所有者によって

共同利用されているもの。

 

■専用私道

特定の一画地のみの私道で、

私道所有者と画地所有者が同じであるもの。

 

【財産評価基本通達における評価】

 

私道の用に供されている宅地の評価として、

宅地価格の30/100で評価するとされています。

 

不特定多数の者の通行の用に供されている場合は、

「その私道の価額は評価しない」として

価値ゼロとなります。

 

【固定資産評価】

 

「公衆用道路」に認定されると、

非課税として取り扱われます。

 

必ずしも登記地目が「公衆用道路」である必要は無く、

現に不特定多数の者の通行の用に供されていて、

アスファルト舗装されているなど、

道路としての形状を有している場合等は、

地目「宅地」であっても、申請により

公衆用道路として認定してもらえる場合があります。

 

【鑑定評価】

 

私道の位置、所有形態、

建築基準法上の道路かどうか、

課税の有無、道路管理者が誰か、

上下水ガス管の埋設の有無、

将来的な宅地転化の可能性などを

総合的に判断することになります。

 

「土地価格比準表」(七次改訂・地価調査研究会編著)では、

標準住宅地域の私道減価として

以下のとおり記載されています。

 

準公道的私道 80%以上

共用私道   50%〜▲80

専用私道   減価の記載なし

 

上記はあくまでも標準的な参考値であり、

その私道の実態に応じて

適切な減価率を求めていく必要があります。

 

但し、現実的に市場において取引の対象となるかと言えば

なかなか難しいのも実情ではないでしょうか。


2020/11/14

借地権の評価は、鑑定評価、税務上、裁判上で

それぞれ考え方が異なる部分があります。

 

どれも正しいのに、評価に差が出てしまう。

非常に悩ましいのが実情です。

 

【具体例】


税務では、相当地代なので、借地権価格ゼロ。

 

裁判では、相当地代であっても、

権利が存在し、その場所を占有できるため、

更地価格の20%〜30%程度の価値。

 

鑑定では、不動産鑑定評価基準に基づき、

賃料差額還元法はゼロとなりますが、

割合法を併用するため1040%程度の価値。

 

このようなイメージです。

三者三様の考え方に基づいていて、

どれも正しいのに0%〜40%もの差が出てしまいます。


更地価格が高ければ高いほど、
価格にした時の差は非常に大きいです。

 

【鑑定評価】

 

・賃料差額還元法

・割合法

・取引事例比較法

・収益還元法(土地残余法)

・更地価格−底地価格

 

借地権の取引慣行の成熟の程度の高低に応じて、

上記の手法を併用して評価します。

 

実務上は、賃料差額還元法割合法

最も使われているのかなと感じます。

 

賃料差額還元法は、相当地代を払っている場合は

借地権価格ゼロとなりますが、

路線価の借地権割合を使った割合法も併用するため、

借地権価格ゼロとなることはあまりありません。

 

そして、鑑定の勉強で必ず出てくる点にも注意が必要です。

・借地権+底地=更地 とは必ずしもならない。

・借地権が存在しても、価格が認められない場合もある。

 

【税務上の評価】

 

路線価の借地権割合が基本となりますが、

相当地代の場合は借地権価格ゼロとなります。

 

また、無償返還届の有無による違い、

当初の権利金が借地権として帳簿に計上されている、

駐車場はアスファルト舗装部分の価格計上の要否etc.

税務だからこそ検討すべき事項が出てきます。

 

特に、無償返還届の有無や

当初の設定権利金が割安であった場合等は、

評価の違いが大きくなってきます。

 

【裁判上の評価】

 

使用貸借権であっても

10%程度の価値を認められることが多いため、

借地権であれば、相当地代だからといって

価格ゼロになるとは考え難いです。

 

権利が存在し、その場所を占有できる。

使用貸借権よりも権利として強い。

とすると、少なくとも20%以上の価値は出てきそうです。

 

【実務での評価方針】

 

ご相談頂く際に、どのような依頼目的

しっかりお伺いさせて頂くことにしています。

 

仮に、いくら税務で正しくても、

不動産鑑定評価基準での問題になると

正しくないと言われるかもしれませんし、

その逆もまたしかりです。

 

鑑定、税務、裁判上の評価など

どのような依頼目的で、

どのような借地権を評価するのか。

どのフィールドでの評価なのか。

 

借地権価格がこれだけ変動するのですから、

底地価格も大きく変わってくるのは

言うまでもありません。


2020/11/07

【全国対応】

 

「遠方の不動産なのですが、

鑑定をお願いすることはできますか?」

 

ちょい聞き等でご相談頂く際に、

このようなご質問を頂くことがあります。

 

当事務所は「全国対応」ですので、

どこの物件であっても喜んでお受けします。

 

普段は、近畿圏の鑑定ご依頼が多く、

近畿圏であれば交通費も無料でさせて頂いていますが、

日本全国様々なところでの

評価実績がありますので、ご安心ください。

 

【どうして全国対応できるのか?】

 

当事務所に頂くご依頼のほとんどは、

士業の先生からのご紹介です。

 

単に売買実例価格を集めて、

平均値を出すような相場情報提供だけでは

ご依頼目的を達成することができません。

 

相続税評価額、固定資産評価額、

相手が主張する価格などが適正なのかどうか。

また、適正ではないとすれば適正な価格はいくらか。

 

不動産鑑定評価基準に基づき、

説得力ある説明をしていく必要があります。

 

相続税評価額は、財産評価基本通達

固定資産評価額は、固定資産評価基準

相手が主張する価格は、上記のいずれかもしくは

不動産業者の査定、不動産鑑定評価基準に基づく

不動産鑑定士の評価が根拠です。

 

どれも地域性だけで

評価方針に大きな差が付くような基準ではないため、

全国どこの物件でも

基本は同じような目線でチェックが可能です。

(その上で、地域性をさらに考慮します。)

 

土地単価は、実勢価格と整合しているか。

建物価格は、固定資産評価額等が実際の建築費、

帳簿価額、市場価格等と乖離していないか。

収益物件は、適正に収益性が判定されているか etc.

 

見るべき重要ポイントは基本的に同じです。

そのため、全国どこの物件でも対応できるのです。

 

【不動産の地域精通性との関係】

 

不動産は地域性が強く、

地域精通性を重視されることが多いです。

 

その地域のリアルな市場動向をより知っているのは、

やはりその地域の不動産鑑定士だと思います。

 

しかし、もっと言えば、

地域の市場動向だけを知りたいのであれば、

その地域の“実際のプレーヤー”である

不動産業者さんが最もよくご存じかもしれません。

 

それにもかかわらず、

不動産鑑定士にご相談頂いたということは、

市場動向だけではないご依頼目的があるはずです。

 

価格判定が難しい不動産の評価について、

不動産鑑定評価基準に基づいて説得力ある説明ができるのは、

やはり不動産鑑定士が適任だと考えます。

 

当事務所は、その地域の不動産鑑定士等とも連携し、

地域の市場動向をしっかり把握するように努めています。


2020/11/04

前回の土地のみ(更地)の場合に続き、

担保評価・土地建物編です。

 

前回土地について色々触れましたので、

今回は特に建物について

取り上げてみたいと思います。

 

【土地と建物の所有者が同じか】

 

所有者が異なる場合、

借地権など何らかの利用権

設定されている場合があるため、

所有者の確認は基本中の基本です。

 

共有になっていることも多く、

どのような持分割合になっているか

確認することも大切です。

 

土地と建物の持分割合が異なることもあり、

評価目線の違い=価値観の違いではなく、

明らかなミスになるため気を抜けません。

 

一方、土地と建物が共同担保に供されている場合は、

「同一人に属するものして」との評価条件を付して

土地建物の評価をする場合もあります。

 

【建物の増改築の有無、同一性の確認】

 

登記されている建物の情報と

現況が同一となっているかを確認します。

 

増改築をしていると、床面積=評価数量が変わり

建物価格が変わってきます。

 

また、資本的支出に該当する場合等は

建物の経済的残存耐用年数が変わってくるため、

建物価格に影響があります。

 

さすがに主建物ではあまりありませんが、

複数の附属建物がある場合等は、

新しく未登記附属建物が建っていたり、

過去に取り壊し済みであったりすることもあり、

登記情報と現況の異同をしっかり確認します。

 

所有者からは「これが登記の建物だ」と聞いていても、

登記建物と全く違う建物が建っていて、

登記建物=現況建物かどうか

同一性が疑われることもあります。

 

担保権が及ぶ範囲が、担保権者の事前の思いと

異なることが無いように入念な確認が必要となります。

 

【融資期間と建物の耐用年数】

 

融資期間が20年なのに、

建物の経済的残存耐用年数が5年など、

融資期間>建物耐用年数の場合は、

金融機関での稟議の際に問題になる場合もあります。

 

機械的に建物の残存耐用年数を設定するのではなく、

現況に即して適切に耐用年数を判断することが大切です。


2020/10/31

金融機関向けの不動産担保評価も

不動産鑑定士の仕事です。

 

今回はその中でも土地(更地)の場合に

現地調査で特に気を付けていることをご紹介します。

 

【担保評価の原則】

 

担保評価は「現況評価」が大原則です。

 

たとえば、土地上に未登記建物があるが

当該建物が無いものとしてという条件は、

担保処分の際に大きな問題となる可能性があり、

担保価値に影響があるため認められません。

 

【チェックポイント】

 

■境界確定の有無、隣接建物の越境など

境界が決まっていなかったり、

境界紛争があるような場合は、

将来的に地積が変わってしまう可能性や

そもそも売りにくいという問題があります。

 

隣接建物の越境についても、

将来的に問題になることがあります。

 

軒先だけのでっぱりなのか、

建物自体が越境しているのか、

コンクリートブロック塀がいつの間にか

数十センチ移動されていたり。

14条地図が整備されているとホッとします。

 

物件範囲の確定は、

全ての基本だけに非常に重要です。

 

■未登記建物、工作物・構築物等の有無

土地の上に未登記建物があって、

主建物の附属でセットかなと思っていると、

実は他人が所有する建物だったり。

 

既に賃貸借契約を結んでいたり、

担保の範囲に含まれないような

立派な独立した建物が建っていたり。

 

会計監査等では「実在性」が重要だったりしますが、

担保評価の場合は“建物がある”ことのほうが

問題になるケースも多いです。

 

■取壊済建物の登記の有無

本当に現存しないのか

登記が残っていることでの問題があるのかどうか。

可能であれば滅失登記ができるかどうか。

 

■借地権・一時賃貸借・使用貸借・無断使用の有無

わかりやすく建物が建っていると

何らかの権利関係があるのだと予想できますが、

パッと見は何も問題なくても、

実は貸していた、借りていたという場合も。

 

土地の一部ないし全部が使えないことは

担保価値に大きな影響を及ぼします。

特に、借地権が設定されている場合は、

借地権割合からもわかるように多大な影響があります。

 

また、契約書がなく、借地しているものの

どの範囲が該当するのかわからないこともあります。

建物の建築面積÷建蔽率で

最低限の借地面積を類推するなど対応が必要です。

 

■地目変更手続きの有無

現況宅地となっているのに、

登記地目が田・畑となっている場合、

地目変更登記手続きがされているか、

そもそも地目変更手続きが可能かを確認します。

 

特に、市街化調整区域の場合は、

地目変更が必ずしもスムーズとは限りませんし、

無許可で宅地転用し、

無許可の未登記建物が建っているなど

問題になるケースもあったりします。


2020/10/27

生産緑地についての研修会に参加してきました。

2022年問題、相続対策、不動産市場予測など

非常に興味深い内容でした。

 

不動産鑑定士も生産緑地の評価を

依頼されるケースがありますので、

評価について考えてみました。

 

【生産緑地とは】

 

市街化区域にある農地のうち、

生産緑地地区の指定を受けた農地です。

 

面積は500㎡以上が基本で、

平成4年(1992年)に

指定を受けた生産緑地が大半です。

 

<メリット>

・固定資産税が農地並み課税で非常に安いこと

・相続税の納税猶予を使うと、評価が非常に安くなる。

 

<デメリット>

・生産緑地に指定されている間(30年間)の営農義務。

・納税猶予を使うと、死ぬまで営農義務。

(生産緑地指定と関係なし)

 

【財産評価基本通達における評価】

 

No.4626 生産緑地の評価」

 課税時期から、買取りの申出をすることが

できることとなる日までの期間により

以下のとおり減価割合が定められています。

 

すぐに申出できるもの          5

5年以下のもの       ▲ 10%

5年を超え10年以下のもの ▲ 15%

10年を超え15年以下のもの ▲ 20%

15年を超え20年以下のもの ▲ 25%

20年を超え25年以下のもの ▲ 30%

25年を超え30年以下のもの ▲ 35%

 

【鑑定評価】

 

生産緑地について、建築物の新築、

宅地造成などを行う場合には、

市町村長の許可を受けなければなりません。

 

しかし、この許可は、農産物の生産集荷施設や

市民農園の施設等を設置する場合以外は、

原則として許可されないことになっています。

 

財産評価基本通達は、このような

市街化区域で宅地化も可能な土地なのに、

一定期間農地としてしか使えないことを

考慮した減価になっているということになります。

 

<開発許可との関係>

生産緑地は、解除されれば宅地利用が可能ですが、

そもそもその生産緑地は宅地化できるのでしょうか。

 

生産緑地の主たる需要者としては、

開発素地を求める不動産業者(デベロッパー)

が想定されます。

 

生産緑地が多く存在するのは、都市の外辺部です。

そもそもその地域に宅地需要はあるのか、

そもそもその生産緑地単独で開発可能なのか

 

周辺も生産緑地に囲まれてしまっていたり、

道路要件で開発許可が不可能であったり、

そもそも生産緑地が解除されたとしても

宅地化が見込めない物件もかなりあると思います。

 

このような場合は、買取申し出までの

期間のみの減価だけを考えるのではなく、

そもそも「生産緑地でないものとして評価した価格」が

適正かどうかをしっかり検討する必要があります。

 

単に、正面路線価×地積×画地計算のみでは、

時価を超えて過大に評価してしまう可能性があります。

 

【その他】

 

余談ですが、生産緑地の申出期間による減価割合と

配偶者居住権で適用される複利現価率

 

土地利用可能性などを反映して、

同じ期間であっても率が異なることが興味深いです。


2020/10/25

高低差がある土地について、

居住の快適性から見た住宅地に続いて、

商業地について見ていきたいと思います。

 

【道路より高い土地】

 

<プラス要因>

日照・通風・排水・眺望等に優れるため、

プラス評価です。

 

特に、リゾートホテルのような物件の場合は、

眺望の良さは大きなプラス評価となります。

 

商品宣伝効果の面から見ても、

看板などの視認性が高まることから、

基本的にプラス評価です。

 

<マイナス要因>

あまり高い場合は、顧客を引き寄せにくくなり、

徒歩や車を問わず、出入りの便も悪くなってしまいます。

 

また、擁壁や階段を設置する必要が出てくるなど、

費用面からもマイナスになることがあります。

 

さらに、衣料品や食料品店舗の場合は、

道路より高い→日照が良いこともあり、

日照による商品の劣化を速めることもあるので、

必ずしもプラス評価となるとは限りません。

 

【道路より低い土地】

 

<プラス要因>

ありません。

 

<マイナス要因>

あまり低い場合は、顧客を引き寄せにくくなり、

徒歩や車を問わず、出入りの便も悪くなってしまいます。

 

また、住宅地と同じように

日照・通風・排水・眺望等が劣るため、

マイナス評価です。

 

周辺の雨水・排水が流入し、

敷地内が水浸しになるほか、

土地上の建物にも水没や湿気等で

大きなダメージを与えることになります。

 

また、道路と等高にするための造成工事

多額の費用がかかってしまったり、

擁壁費用(土止費)が過大になることもあります。

 

道路から低いと、看板なども見えにくくなり、

商品宣伝効果の面からマイナスになります。

 

【まとめ】

 

道路より低い土地は、

住宅地でも商業地でもプラスは無く、

道路より高い土地は、

利用の仕方によってプラス評価となります。

 

【相続税路線価】


相続税路線価でも、

等高な土地ばかり並んでいる時に

対象地だけ道路と一定以上の高低差があると、

上記のようなプラスマイナスが付きます。

 

しかし、全ての土地が同じように

道路と高低差があるような場合は、

高低差があることがそもそもの正面路線価に

織り込まれている場合もありますので、

どのような前提で評価をしているか注意が必要です。


2020/10/23

「高低差がある土地」って?

前の道路より高くor低く接している

土地のことです。

 

住宅地ですので、角地と同じように

「居住の快適性」の観点から見ていきます。

 

【道路より高い土地】

 

<プラス要因>

日照・通風・排水・眺望等に優れるため、

居住の快適性としてプラス評価です。

 

道路より高いと、周辺の雨水・排水も入ってこないし、

道路より高くしている家って多いですよね。

 

このように、ほどほどの高さの土地はプラス評価です。

 

<マイナス要因>

一方、バリアフリーの観点からは、

階段を使って家に入ることになりますので、

必ずしもプラスとは言えません。

 

また、近年の土砂災害の多さなどから、

あまり高低差があるような住宅地は

災害リスクがあるため敬遠される傾向にあります。

 

さらに、一定以上の高さになってくると、

擁壁工事、階段や掘り込み車庫などの設置費用

かなり高くなってきます。

 

特に、擁壁については、

古くて耐久性がなく危険性が高い場合

かなり多額の工事費になるので要注意です。

 

このように一定以上の高さの場合、

マイナス要因のほうが強くなってきます。

 

【道路より低い土地】

 

<プラス要因>

ありません。

 

<マイナス要因>

日照・通風・排水・眺望等が劣るため、

居住の快適性としてマイナス評価です。

ちょうど道路より高い土地と正反対ですね。

 

同じように、周辺の雨水・排水が流入し、

敷地内が水浸しになるほか、

土地上の建物にも水没や湿気等で

大きなダメージを与えることになります。

 

また、道路と等高にするための造成工事

多額の費用がかかってしまったり、

擁壁費用(土止費)が過大になることもあります。

 

【まとめ】

 

道路より高い土地は、

一定の高さまではプラス評価ですが、

一定以上になるとマイナス要因が強くなり、

道路より低い土地はマイナス要因のみ。

 

高低差1つ取ってみても、

いろんな見方がありますね。


2020/10/21

「角地」は当然プラス評価!?

 

前回の住宅地に続いて、

今回は商業地について見ていきたいと思います。

 

住宅地は「居住の快適性」が重要でしたが、

商業地は「収益性」が重要になってきます。

 

【日照・通風】

 

住宅地とは違って、

角地による日当たりの良さは

必ずしもプラスにはなりません。

 

小売店などでは、日当たりの良さが

商品の劣化を速めることもあったりして、

逆にマイナスになってしまうこともあります。

 

商業地の鑑定評価の場合、

通常は方位でプラス評価をしないことからも、

角地による日照・通風の良さは限定的だと考えます。

 

【間口・奥行・形状等】

 

顧客の出入りの便がよくなり、

視認性アップなど商品の宣伝効果が高く、

売上収益に直接影響するため、プラス評価です。

 

また、住宅地と同じように

建物の配置や設計上の多様性が増えるなど、

集客の点からも優れているため、プラス評価です。

 

【接面道路との関係】

 

2つの道路から人の流れを吸引できるため、

収益性が高まり、プラス評価となります。

 

ただ、接面道路の幅員があまりに広い場合は、

その道路が地域を分断してしまい、

全体としての繁華性が低くなってしまう等、

必ずしもプラス評価とならない場合もあります。

 

【公法上の規制・制約】

 

商業地域内で防火指定がある場合は、

建蔽率や使用可能容積率がアップしますので、

住宅地以上に大きなプラス評価となります。

 

「消防隊に憲兵さんはいない」

商業地域、防火地域、耐火建築物の場合は、

建蔽率が100%となると

宅建の試験でゴロ合わせて覚えた記憶があります()

 

ただ、側道の斜線制限などで

高度利用ができなくなってしまう場合は、

住宅地以上に大きなマイナスになってしまうことも。

 

【まとめ】

 

住宅地と同じように、商業地の場合でも、

立地条件や土地利用方法によっては

マイナスになってしまうこともあります。

 

その角地は本当にプラスなのか。

また、どれくらいプラスなのか。

個別具体的にしっかり見ていく必要があります。

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