士業専用ダイヤル
「角地」は当然プラス評価!
そんな当たり前に思う角地ですが、
どうしてプラス評価になるのか、
どんな時でもプラス評価になるのか、
しっかり考えたことはありますか?
今回は住宅地の角地について
見ていきたいと思います。
【日照・通風】
日照・通風に良い影響を与えることから、
角地であることはプラス要因になります。
特に、家が密集した小規模な住宅地などでは、
通常より大きなプラスの影響があります。
方位によっても角地の影響の大きさは異なり、
一般的には「東南の角地」が優れるとされます。
【間口・奥行・形状等】
出入りの利便性の向上、避難経路の確保、
建物設計上の多様性の確保など、プラス要因です。
また、うなぎの寝床のような土地が多い地域では、
間口の狭さをカバーしてくれることにもつながります。
【接面道路との関係】
二方向から人や車の往来があるため、
騒音や交通面での危険性がある場合などは
マイナス要因になることもあります。
特に、閑静な住環境が重要な高級住宅地では、
騒音は大きなマイナス要因になることもありますので、
角地=一律プラスとせず、
地域の実情をしっかり把握することが大切です。
【公法上の規制・制約】
どちらも幅員6m以上の市町村道である場合など、
一定の場合は建蔽率が10%緩和され、
プラス要因になります。
一方、正面道路は広くても、
側道が4m未満の2項道路の場合などは、
セットバックが必要となり、
マイナスに作用する場合もあります。
さらに、中高層マンションが建つ場合は、
側道の幅員が狭いと、高度利用ができなくなって
マイナスに作用してしまうこともあります。
(道路斜線制限は、隣地斜線制限より厳しい)
【まとめ】
このように、一般的に角地=プラスのイメージでも、
立地条件や土地利用方法によっては
マイナスになってしまうこともあります。
その角地は本当にプラスなのか。
当たり前に思ってしまうことだけに、
今一度しっかり見てみるのも良いのではないでしょうか。
周辺の標準的な画地に比べて、
規模の大きな画地を評価する場合、
平成30年から財産評価基本通達では
「規模の大きな画地の評価」が新設されました。
詳細の内容は国税庁ホームページの
「No.4609地積規模の大きな宅地の評価」を
ご確認頂くとして、この規模補正は
固定資産評価でも同じように適用されているのでしょうか。
【財産評価基本通達】
基本的に、三大都市圏は500㎡以上の宅地、
三大都市圏以外は1,000㎡以上の宅地が対象です。
地積規模の大きな宅地に該当すると、
ざっと20%以上の減価となります。
広大地がなくなり、平成30年から新設されました。
【固定資産評価】
同じ公的評価であることから、
国税と同じように規模補正はあるのでしょうか。
各市町村により定めている「所要の補正」の
内容が異なるため一概には言えませんが、
国税の「規模の大きな画地の評価」のような
規模補正を持っていないところが大半だと思います。
この規模補正を持っていないということは、
財産評価基本通達で評価した場合よりも
高く評価されている可能性があるということです。
仮に、固定資産評価において、
画地規模100㎡を標準として100,000円/㎡と
単価が決まっているとしましょう。
一方、対象地は上記の100㎡の土地に隣接する
規模が大きな1,000㎡の画地です。
対象地が、間口が広く、奥行がそれほど長くない
整形地であったとすると、100㎡の土地と同じ
100,000円/㎡の単価が付いている可能性があります。
三大都市圏の「規模の大きな画地の評価」であれば、
▲22%の規模補正がされるにもかかわらず、
固定資産評価においては規模補正±0となっていることも。
これはなにも市町村の故意や過失で
高く評価しているのではなく、
市町村が持っている「所要の補正」の中に
このような規模補正の項目を持っていないことが原因です。
所要の補正の規模補正項目としては、
大規模評価として、50,000㎡以上の大規模工場について
一定の規模補正を持っている程度の市町村が多いと思います。
【両者の違いを明確に】
このブログで固定資産評価は間違っている!
と言いたいわけではありません。
どうしても評価額のみに目が行きがちですが、
その評価額はどのような算定過程で出てきたものなのか、
しっかり見ておくことが大切だと言いたいです。
「レントロールを送って頂きたいです」
ご相談を頂いた時に、
収益物件であれば必ずお願いすることです。
レントロールの内容によっては、
評価が大きく変わってくることになります。
特に、コロナ禍での賃料減額要請が多い中、
収益の変動は価格にも大きく影響を与えます。
賃料が高い、今後増額見込みであれば、価格は高く。
賃料が安い、今後減額見込みであれば、価格は安く。
単なる土地の坪単価と建物の築年数だけではない、
“見方を変えた”収益性から評価をすることができます。
そのため、固定資産評価額や相続税評価額から
大きく価格が変わる可能性があります。
【収益物件】
収益物件とは、テナントビル、店舗、事務所、
賃貸マンション、アパート等、
収益を目的として建てられている物件のことです。
収益物件は、いくら収益が上がるかが
時価(市場価値)を決める最大のポイントです。
不動産広告でも、表面利回り〇%、満室想定〇%など
利回りが書かれているものをご覧になられたことも
多いのではないでしょうか。
【レントロール】
レントロールとは、
不動産の賃貸借条件を一覧表にしたものです。
各階や部屋ごとに月額賃料、共益費、
保証金・礼金、その他賃貸借条件が書かれています。
もちろんレントロール自体が無くても大丈夫です。
概算だけであれば、ざっくり月の収入額をお伺いしたり、
賃貸借契約書、決算書、青色申告書などにも
月額賃料などの数値は記載されています。
【コロナ禍による影響】
テナントの撤退や賃料の減額要請は、
収益性の低下=物件価格の低下に直結します。
さらに、現在は先行き不透明感が強いため、
会社の事業計画も立ちにくいのが現状だと思います。
将来の収益予測も同様で、
抜けたテナント部分に新規入居は見込めるのか。
次の賃料は今と同じか、今より下がるのか。
非常に判断が難しい状況にあります。
今後の見通しなども含めて、
しっかり内容を協議した上で
説得力ある適正な評価をしていきたいです。
鑑定評価には、土地評価の際に
周辺の売買実例価格(取引事例)から
価格を求める方法があります。
取引事例比較法といって、
市場性、マーケットアプローチから
価格を求める手法です。
【実務上の問題点】
この中でよく質問を受けるのが、
どのような売買実例価格(取引事例)を
選んでいるのか?ということです。
極端な話、高い事例から評価したら高くなり、
安い事例から評価したら安くなります。
評価主体の恣意性が疑われるケースもあったりします。
裁判上の評価等でも、高く評価したい方は
高い事例に基づいてこの土地は高いと主張し、
安く評価したい方は安い事例に基づいて安いと主張し、
平行線をたどってしまうケースも多いです。
実際の売買ですから、路線価=取引価格と
1点で決まるものではなく、
市場における中心価格帯という“幅”の中に
入っているかが大切だと考えます。
とはいえ、この幅の上下はそれなりにあって、
“ストライク高め”と“ストライク低め”では、
どちらも正しいけど、価格はかなり違う
というようなことも起こったりします。
【事例選択4要件】
鑑定評価のルールである不動産鑑定評価基準では、
何でも自由に事例を採用してもよいわけではなく、
ちゃんとルールに則って選択・採用しましょうと
4つの要件が定まっています。
■場所的同一性
同一需給圏内の類似地域等に存する不動産であること。
同一需給圏内の代替競争不動産であること。
■事情の正常性(事情の正常補正可能性)
取引等の事情が正常なものと認められるものであること。
正常なものに補正することができるものであること。
■時点修正可能性
時点修正をすることが可能なものであること。
■地域要因及び個別的要因の比較可能性
地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。
上記のほか、投機的取引はそもそもダメですし、
その他適正を欠くと認められる事例も選択・採用できません。
事例が豊富にある住宅団地などは
良い事例を多数収集して選択・採用できるのですが、
大規模工場や農家集落地域など、
取引事例がそもそも少ないところは
どのような事例を採用するか鑑定士の腕の見せ所です。
最終結果である鑑定評価額だけを見るのではなく、
どんな事例に基づいて評価をしているのかなと
評価の過程も見て頂けるとうれしいです。
「土壌汚染ってどうやって調べるの?」
土壌汚染は多額の費用が見込まれることが多く、
“一撃必殺”で価格が変わってしまう大きな要因です。
そのため、土壌汚染があるのか無いのか、
費用としてはどれくらい見込めばよいのか、
ざっくり調べたいとご相談を頂くことが多いです。
詳細は、法で定められた指定調査機関に依頼して
しっかりと調べてもらうことになるのですが、
自分でも調べられることはけっこうあります。
【所有者負担】
汚染土壌は、基本的に
所有者の負担で浄化する必要があります。
用途によっては浄化まで要求されなかったり、
最終的には汚染の原因者に求償できるなど
細かい規定はありますが、
現実問題として所有者が浄化費用を
負担することがほとんどだと思います。
【行政調査】
都道府県・特例市・中核市の環境担当課において、
区域指定の有無及びその内容、有害物質使用施設一覧、
水質汚濁防止法の特定施設一覧等を確認できます。
ただ、台帳に記載されているものは
実際に土壌汚染がある土地の一部にすぎません。
そのため、行政調査を行い、
該当が無かったからといって土壌汚染無しと
判断することは早計です。
【不動産登記簿】
過去に工場として利用されていた土地は、
土壌汚染の可能性があります。
閉鎖登記簿も含めて、土地・建物の所有者、
建物の種類や用途などを確認します。
例えば、“○○化学工業株式会社”の“工場”であれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれないと推測できます。
【過去の住宅地図】
図書館に行くと、その地域の
古い住宅地図を閲覧することができます。
細かい範囲や実際の利用状況までは確認できませんが、
上記のような化学工場の記載があれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれません。
【航空写真】
ネットで「地図・空中写真閲覧サービス」を検索すると、
国土地理院がこれまで整備した空中写真を
検索して閲覧することができます。
拡大すると粗い画質になりますが、
住宅地図よりも実際の土地利用状況を
調べることができます。
このような事前調査を踏まえて
土壌汚染の可能性の高低を判断し、
必要に応じて指定調査機関などに
ご依頼されることがよいのではないでしょうか。
学問の秋、読書の秋、
連休前半はM&Aやデューデリジェンス、
企業価値評価の勉強を頑張ってきました。
【企業価値評価と鑑定評価】
企業価値評価と鑑定評価って
めちゃくちゃ似ているなと改めて感じました。
もちろん評価対象が会社と不動産と異なりますし、
細かい項目は違うことも多いのですが、
考え方や価格へのアプローチが本当に似ています。
不動産と言っても、戸建住宅ではなく、収益物件です。
そこそこ立派なテナントビルの評価と似ています。
【3つの評価アプローチと特徴】
■コストアプローチ
企業評価:時価純資産価額法、修正簿価純資産法
鑑定評価:積算法
客観性は高いが、将来の収益獲得能力の反映に弱い。
■マーケットアプローチ
企業評価:類似会社比準方式(マルチプル法)
鑑定評価:取引事例比較法
客観性や市場での取引環境の反映に強いが、
評価対象の固有の性質の反映に弱い。
どの会社、どの取引事例から評価するかによって
結果が大きく変わってしまう。
良い会社、高い取引事例から評価すると高くなるし、
悪い会社、安い取引事例から評価すると低くなる。
■インカムアプローチ
企業評価:DCF法、収益還元法 等
鑑定評価:DCF法、収益還元法 等
将来の収益獲得能力の反映や固有の性質の反映に強いが、
客観性は弱い。
特に、将来の収益性を想定して評価するDCF法は、
楽観的に考えるか、悲観的に考えるかによって
結果が大きく変わってきます。
【点ではなく幅】
企業価値評価も鑑定評価も、
唯一絶対的な価格というものは存在せず、
一定の適正な価格の幅として認識されます。
その上で最終的には
1点での価格を出すのが専門家ですが、
利回りや割引率を少し変えるだけで
結果が大きく変わってくるのも
よく似ているなと思いました。
【仲介会社方式】
時価純資産に3〜5年の正常営業利益を加算して
企業価値評価を出す方法です。
理論的・専門的には色々問題があるが、
経営者の方に非常にわかりやすいとのことでした。
鑑定評価には同じような手法が無いので、
この仲介会社方式のような評価方法って
鑑定評価でも応用できたら面白いかなと思いました。
鑑定評価額を出してもらったけど、
鑑定評価額には帳簿のどの部分が含まれるのか?
特に、建物について、
会計士さん税理士さんからご質問頂くことが多いです。
【土 地】
土地はわかりやすくそのままです。
一方、借地権は鑑定評価をすると
価格が大きく変わる場合があるのでご注意ください。
たまにアスファルト舗装は入るのか等の
ご質問を頂くことがありますが、
基本的には土地と一体的になっているため
土地の鑑定評価額に含まれます。
【建 物】
一方、建物の鑑定評価額についてはご質問が多いです。
帳簿の有形固定資産の区分には
建物、建物付属設備、構築物、
機械装置、車両運搬具、器具備品などがありますが、
どの部分に該当するのかという内容です。
基本的には「建物」「建物付属設備」が
建物の鑑定評価額に含まれるものになります。
建物と一体性があり、取引の際に
通常一緒に譲渡されると判断されるものが対象です。
容易に取り外しができたり、
建物との一体性が認められないものなどは
基本的には対象外となりますので、
構築物や器具備品等は対象外となることがほとんどです。
イメージとしては、業務用エアコンは一体で含むけど、
家庭用エアコンは容易に取り外せるので
対象外という感じでしょうか。
絶対的な決まりがあるわけではありませんので、
適切に説明できるかどうかを
現状に即して判断すべきだと考えます。
仮に、テナントビル等の収益物件であれば、
一体としての収益性を評価していることから
建物の効用を維持するために必要不可欠なものであれば、
構築物や器具備品であっても
対象内とすることは一つの考え方かもしれません。
工場や事業所の鑑定評価では、
機械器具備品は考慮外とされることがほとんどです。
一方、工場財団の評価などでは
評価対象となることもありますが、
一般的な鑑定評価では含まないことが多いと考えます。
「鑑定評価の条件」欄を見ると、
どのようなものを対象としているか
記載していることもありますので要チェックです。
価格を求める基本的な3手法「原価法」の中で、
建物の経年減価等を考慮する「減価修正」についてです。
減価償却≠減価修正
会計士さん・税理士さんが使う「減価償却」と
同じような部分と異なっている部分があります。
基本となる経年減価については同じなのですが、
減価修正は経年減価以外にも考慮する項目があります。
経年減価だけが減価修正じゃないんだよと
お伝えすることが今回の目的です。
経年減価だけじゃないということは、
新築でもマイナスになる部分があるかもしれず、
中古でも簿価以上にマイナスになる部分があるかもしれず、
価格が変わってくるかもしれませんということです。
そして、価格が変わると、売買価格、税額、株価など
様々なことが変わってくることになります。
減価修正
「減価の要因に基づき発生した減価額を、
対象不動産の再調達原価から控除して、
価格時点における適正な積算価格を求めること」です。
この減価の要因は3つに分けられます。
■物理的要因
使用による摩滅及び破損、時の経過による老朽化等です。
いわゆる経年減価とほぼ同じイメージですが、
経年劣化のほか、自然災害での偶発的な損傷等も含まれます。
■機能的要因
型式の旧式化、設備の能率低下等です。
建物設備の型式が古くなったり機能が劣ったり、
マンションの間取りが時代に合わなくなったり。
耐用年数自体はまだまだ残存年数があったとしても、
このような機能的な要因も減価になります。
■経済的要因
地域の衰退、環境との不適合、市場性の減退等です。
たとえば、新築の建物が建っているとしても、
山の中の誰も買わないような場所にあったとしたら、
新築の価格より値段は下がってしまうことになります。
減価修正の方法
減価修正の方法には以下の2つがあります。
■耐用年数に基づく方法
定額法と定率法があり、定額法が主流です。
少し前のブログでテーマにした「建物の耐用年数」は、
ここで大きなウエイトを占めることになります。
経済的残存耐用年数をどう判断するかにより、
価格が大きく変わってくることになります。
■観察減価法
実態を調査して、減価額を直接求める方法です。
耐用年数に基づく方法と併用することになります。
経年減価だけでは把握しきれない建物の実態を
しっかり評価に反映さそうというものです。
鑑定評価書では、上記耐用年数に基づく方法に続いて、
さらに5%、10%、20%など減価をしていることが多いです。
このように減価償却と減価修正は
同じような部分と異なっている部分があります。
経年減価だけでは、簿価と実際の価格に
大きな差があると感じられた時は、
ゼヒ不動産鑑定士にお問い合わせください。
価格を求める基本的な3手法「原価法」の中で、
前回の「建物の再調達原価」に続き、
「建物の耐用年数」についてです。
こちらも裁判上の評価でよく争点になります。
耐用年数が長ければ、建物価格は高くなり、
耐用年数が短ければ、建物価格は低くなります。
建物の耐用年数
法定耐用年数、物理的耐用年数、経済的耐用年数など
様々な耐用年数が存在します。
■法定耐用年数
国税庁が主な減価償却資産の耐用年数として、
建物及び建物附属設備の耐用年数を定めています。
会計士さんや税理士さんは
構造・用途・細目別の耐用年数を使って
日々の業務をされていることと思います。
■物理的耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)について、
上記の法定耐用年数では
最大でも50年となっていますが、
物理的な耐久性だけであれば
もっと耐用年数は長くなります。
現実的には、建物の機能や設備、間取り等が
時代にそぐわなくなって取り壊されることが多いですが、
物理的に存在するという意味ではとても頑丈です。
■経済的耐用年数
建物が経済的に価値を有する年数です。
上記の物理的耐用年数より短いのが通常です。
鑑定評価における耐用年数
鑑定評価では、経過年数よりも
経済的“残存”耐用年数に重点を置いて評価します。
また、法定耐用年数のように
木造住宅22年、RC造事務所50年など
年数が定まっているわけではありません。
そのため、木造であれば25〜35年程度、
RC造であれば40〜50年程度など一定の幅が存在します。
また、大規模修繕などがされていると、
耐用年数を延長して評価することも可能です。
もちろん、木造が50年でRC造が20年のように
完全に逆転するような耐用年数の判断はできませんが、
合理的に説明できる一定の幅があるということは、
建物の価格に大きな影響があるということになります。
同じ建物でも、経済的残存耐用年数が
5年と15年であれば、3倍近い価格差となり、
仮に5年が1,000万円なら、15年は3,000万円となるなど
耐用年数1つで大きな価格差が生まれてしまいます。
このように、建物の耐用年数と言っても、
どのような根拠に基づいて、
どのように評価主体が判断するかによって
大きく変わってくることがあります。
価格を求める基本的な3手法のうち
「原価法」について、
裁判上の評価でよく争点になる
「建物の再調達原価」についてです。
再調達原価が高ければ、建物価格は高くなり、
再調達原価が低ければ、建物価格は低くなります。
建物の再調達原価
「対象不動産を価格時点において
新たに再調達することを想定した場合において
必要とされる適正な原価の総額をいう。」
建物の建築費は千差万別です。
パッと見は同じような建物であっても、
実際は倍半分の差があったりします。
鑑定士も実務経験を積み重ねることにより、
建物のグレードや構造・工法、建築費等について
ある程度の知識を深めてはいますが、
建築士さんのような完全な専門家ではありません。
そのため、様々な資料に基づいて
評価の対象となる建物の再調達原価を査定します。
■実際の建築費
建物建築請負契約書や固定資産台帳等から
実際の建築費を調べる方法です。
対象建物の建築費実額ですので、
個別具体性があり、説得力は非常に強いです。
ただ、価格時点と建築時期の違いをどう調整するのか、
(一般的には建築費指数等で時点修正します。)
特別な事情で割高・割安な建築費になっていないか
しっかり確認することが必要です。
■国税・標準的な建築価額表
国税が毎年の標準的な建築価額を公表しているもので、
SRC・RC・S・W造など構造別に数値が出ています。
国税の数字ですので、一定の信頼感はありますが、
年と構造のみで建築費単価が出ていますので、
地域別・個別の建築費や事情が
十分に反映されないことに注意が必要です。
■JBCI(ジャパン・ビルディング・コスト・インフォメーション)
実際の契約価格を分析対象としているため、
建物の取引価格について信頼度の高い価格傾向を把握できます。
地域別・構造別などで検索できるのですが、
対象建物の個別具体的な部分は反映されません。
■建物の鑑定評価必携 建物実例データ集
「建物鑑定評価」の資料集です。
建物鑑定評価の方法論について、
その基礎的な事項が体系的に書かれています。
鑑定士だと、非常になじみ深い書籍です。
様々な建物が掲載されていますが、
どの建物を基準にするかによって
再調達原価が変わってくることもあります。
資本的支出・大規模修繕・耐震性能等
建物建築後、通常の維持管理のみされている場合は
あまり関係ないのですが、
大規模修繕や資本的支出、増改築などがあった場合、
適切に反映していく必要があります。
このように、建物の再調達原価と言っても、
どのような資料に基づいて、
どのように評価主体が判断するかによって
大きく変わってくることがあります。
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